遺言で全財産を再婚相手に譲渡されたケース|遺留分を請求して2500万円を獲得した事例

遺言で全財産を再婚相手に譲渡されたケース|
遺留分を請求して2500万円を獲得した事例

依頼者:年代 40代  性別 女性

相談前

依頼者Aさんは、父親が亡くなった後に遺言書が開示され、自分には遺産が全く遺されていないことを知りました。Aさんの他に家族はいませんでした。父親の遺言書には、全財産を父親の再婚相手であるBさんに相続させると記されていました。

父親の遺産は総額1億円で、不動産(約7000万円)と現金・預金(約3000万円)で構成されていました。Aさんは父親の実子であり、法定相続分の半分にあたる遺留分を主張する権利があります。Aさんは、遺留分侵害額請求を行いたいと考えていましたが、Bさんとは面識もほとんどなく、連絡もできない状態でした。

相談後

弁護士の対応


1. 遺産の調査と遺留分の計算
 Aさんの遺留分は、遺産総額1億円の1/2(法定相続分)×1/2(遺留分割合)=2500万円であると算定しました。


2. 交渉の開始
 弁護士は、遺留分侵害額請求の趣旨を説明し遺留分侵害額請求を行う旨を記載した内容証明をBさんに送付しました。Bさんが遺言書を尊重したい意向を持つ一方で、遺留分が存在し、調停や審判移行するとなると、Bさん自身も弁護士費用や労力を費やす必要があるため、そのリスクを説明しました。
また、内容証明を送る理由として、遺留分侵害額請求は被相続人の死亡と自分の遺留分を侵害されていることを知ってから1年以内に行わないと時効によって消滅してしまうことがあります。「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」(民法1048条)と記載されているからです。


3. 円満解決を目指した調停
 しかしながら、示談ではなかなか話し合いもスムーズにいきませんでしたので、家庭裁判所での調停を申立て、双方の意見を調整しました。調停を申し立てると相手方にも弁護士がついてくれましたし、裁判所も説得をしてくれました。そのため、BさんがAさんの要望に応じる姿勢を示したため、調停の場で具体的な解決案を提案しました。
その結果、現金で2500万を獲得することができました。

解決の結果

 2500万円相当の遺留分を現金で獲得しました。

依頼者様のコメント

ありがとうございました。相談をさせていただいて、すぐに先生を選びましたが、本当に良い選択をしました。今後も困ったときは先生にお願いします。

弁護士から一言

本件は法的には単純な事件でしたが、法的に単純であるからといってすぐに解決することは少なく思います。ただ本件ではすぐにAさんが弁護士を就けてくれましたので、比較的スムーズにできたのだと思います。示談段階では私がどれほど説明してもBさんは懐疑的であったので、調停に移行しました。そうするとさすがに弁護士を付けないといけないと考えたのか、Bさんは弁護士を就けました。そして、裁判所も仮に審判になったとしても基本的に遺留分は認める見解を出してくれました。ようやく状況について理解いただいたBさんはほとんど満額を認めてくれました。背景には逆らったとしても審判が下るだけという権力性もあったかと思います。弁護士はこのように裁判という手続きを背景に、「裁判所はこう判断する」ということを前提にして話し合いをすることができます。これは平和的に話し合いを進めるにあたっても非常に重要な要素です。

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