相続で兄弟と揉めてしまったら?弁護士が伝えたい“冷静な対処法”と“今できること”

相続で兄弟と揉めてしまったら?
弁護士が伝えたい“冷静な対処法”と“今できること”

【はじめに】

「うちは仲が良かったから、まさか相続で揉めるなんて思ってもみなかった」

このようなご相談を、私たちは日々数多く受けています。

遺産分割は、単なる財産の問題にとどまらず、これまでの家族関係や感情が絡むことで、予想外のトラブルへと発展するケースが少なくありません。

この記事では、兄弟姉妹との相続トラブルに悩む方に向けて、弁護士の立場から「今すべきこと」や「冷静に解決へ進むためのヒント」をお伝えします。

1. なぜ兄弟で揉めてしまうのか?

兄弟間の相続トラブルは、財産そのものよりも、**“不公平感”や“親との関係性”**に起因することが多いです。

たとえば、

  • 「長男ばかり優遇されていた」
  • 「介護は自分がすべて担ってきたのに」
  • 「急に連絡が取れなくなった」
  • 「勝手に遺産を引き出された」

など、感情のもつれが法的な問題をさらに複雑にしてしまいます。

2. 揉めてしまったときに、まずやるべきこと

(1)証拠を整理する

誰が何を主張しているのか、通帳や不動産の名義、遺言書の有無など、事実関係を整理することが第一歩です。

(2)冷静になる時間を持つ

感情的なやり取りでは解決は難しいです。できれば書面によるやりとりが良いでしょうし、口頭での交渉は録音等するべきでしょう。ただ、口頭によるやりとりはすればするほど感情的にこじれていくだけかと思います。

(3)専門家に相談する

やはり、話がこじれる前に、早めに弁護士へ相談することが大切です。

中立的な立場で法的な整理をし、解決に向けた道筋を提案してくれます。

3. 裁判にならないためにできること

家族間のトラブルを「調停」や「審判」まで持ち込むのは、できることなら避けたいものです。そのためにできることとして、以下のような対応が有効です。

  • 第三者(弁護士など)を交えて話し合う
  • 弁護士に代理交渉を依頼する
  • 書面でのやり取りに切り替える(口頭よりも冷静なやり取りが可能)

感情的なぶつかり合いから一歩距離を取り、冷静な交渉の場を作ることが解決への近道になります。

 ただし、交渉、調停については話し合いにすぎません。したがって、裁判所に判断してもらえる「審判」への移行を躊躇しなくても良いことが多いです。ただし、審判になると不動産の売却方法が競売に限定される可能性があることも考慮に入れて、手続選択を考えるべきでしょう。非常に専門的な判断になるため、やはり弁護士への依頼がベストな選択肢と言えます。

4. 相続トラブルを防ぐために(将来に向けて)

今後、ご自身が相続を「される立場」になることも見据えて、トラブルを防ぐためにできることもあります。

  • 法的に有効な遺言書を作成しておく
  • 生前贈与や財産の“見える化”を進めておく
  • 介護・同居の状況を記録として残す

家族間の“見えない不満”が溜まらないよう、元気なうちから準備しておくことが重要です。

5. 弁護士に相談することで得られるメリット

「家族のことだから、弁護士に頼むのは大げさかもしれない」

そう思われる方も少なくありません。

しかし実際には、早期に弁護士へ相談することで、こじれる前に解決できたケースも多くあります。

弁護士に依頼するメリットは以下の通りです:

  • 中立的な立場で状況を整理できる

 → 主観ではなく、事実と法に基づいたアドバイスが受けられます。

  • 法律上の取り分が明確になる

 → 自分の主張が正当なのか、冷静に判断できます。

  • 相手との直接交渉を避けられる

 → 弁護士が代理で交渉するため、感情的なやり取りを回避できます。

  • 調停や訴訟に発展しても、スムーズに対応可能

 → 書類や証拠も整備されているため、有利に進められることが多いです。

6. 弁護士に相談してから解決までの流れ

以下は、弁護士に相談してから解決までの一般的な流れです。

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【STEP 1】初回相談(事実の整理と見通しの確認)

  • 相続人の構成、財産の内容、現在の争点を確認
  • 通帳、不動産資料、遺言書の有無を確認
  • 法的な見解や今後の可能性をアドバイス

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【STEP 2】弁護士による代理交渉の開始

  • 弁護士が代理人として他の相続人と連絡
  • 内容証明郵便や文書でやり取りし、冷静な交渉を促進
  • 必要に応じて家庭裁判所での調停申立てを検討

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【STEP 3】家庭裁判所での調停や審判(話し合いが困難な場合)

  • 調停では、裁判官と調停委員を交えて話し合い
  • 調停が成立しない場合は、審判(裁判官による判断)へ移行

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【STEP 4】遺産分割協議書の作成と手続きの実行

  • 合意内容を文書化し、遺産分割協議書を作成
  • 預貯金の解約、不動産の名義変更など、各種手続きを行う

【まとめ】

兄弟との相続トラブルは、誰にでも起こり得る問題です。

しかし、感情に流されず法的に整理し、冷静に進めることで、解決に導くことは可能です。

そして、必要なときには弁護士のサポートを受けることで、

あなた自身の不安やストレスを大きく軽減することができます。

「自分一人ではどうにもならないかもしれない」

そう感じた時こそ、私たち専門家にご相談ください。

一緒に最善の道を見つけていきましょう。

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