遺言書が見つかった。でも兄弟間で不公平…と感じたあなたへ ― 弁護士が解説する“遺留分侵害額請求”という選択肢

「遺言書が見つかった。でも兄弟間で不公平…と感じたあなたへ
― 弁護士が解説する“遺留分侵害額請求”という選択肢」

【はじめに】

「母が亡くなって、遺言書が出てきたけれど、兄に全財産を残す内容だった」

「妹に多く渡す内容で、自分の取り分がほとんどない…」

遺言書があることで安心できる反面、「兄弟間での不公平感」に悩まされるケースは少なくありません。

そんなとき、法律では「遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)」という正当な権利が認められています。

今回はこの制度について、具体的な割合や進め方を含めて弁護士の視点から解説します。

1 遺言書があっても「すべてが自由に決められる」わけではない

遺言書は原則として法的効力を持ちますが、相続人にまったく財産を残さないような内容の場合、一定の人には最低限の取り分が法律で保障されています。

これが「遺留分制度」です。

2 【遺留分とは?】誰に、どれくらいあるのか?

遺留分とは、一定の相続人が**最低限受け取ることのできる取り分(割合)**のことです。

遺留分が認められているのは以下の相続人です:

相続人   遺留分の割合(法定相続分に対する割合)

配偶者   1/2

子ども   1/2(複数いる場合は均等に分ける)

親(直系尊属)                   1/3

兄弟姉妹                なし(遺留分は認められません)

________________________________________

【例1】配偶者と子ども2人がいる場合(法定相続分:配偶者1/2、子ども1/4ずつ)

→ 遺留分はそれぞれの法定相続分の1/2

  • 配偶者:1/4
  • 子ども:1/8ずつ

________________________________________

【例2】子どもだけが2人いる場合

→ 法定相続分は各1/2、遺留分はその1/2=1/4ずつ

________________________________________

【注意】兄弟姉妹には遺留分がありません

仮に遺言で「兄に全財産を」と書かれていても、兄弟だけが相続人であれば、他の兄弟には遺留分を主張する権利はありません。

これが「遺留分制度」です。

3 不公平を感じたら「遺留分侵害額請求」を

自分に遺留分があるはずなのに、遺言によって取り分がゼロ、または著しく少ない場合には、「遺留分侵害額請求」という形で金銭的な補てんを求めることができます。

この請求は、相手方に対して「○円を支払ってほしい」という形で行います。

不動産の持ち分を要求することはできず、金銭でのやり取りが原則です。

これが「遺留分制度」です。

4 遺留分侵害額請求の進め方

【STEP 1】遺言書と財産の内容を確認

  • 財産の総額(預貯金・不動産・株式など)を把握し、
  • 自分の遺留分がいくらになるかを計算

【STEP 2】相手に内容証明で請求

  • 弁護士が代理人として作成・送付することで、法的な重みをもたせられます

【STEP 3】話し合い・調停・裁判

  • 任意交渉で解決できない場合は、家庭裁判所で調停・審判へ進むことになります

5 弁護士に相談するメリット

  • 遺留分の計算、証拠の収集、文書作成などをすべて任せられる

  • 相手との直接交渉を回避し、感情的な摩擦を最小限に抑えられる

  • 時効(1年)を見据えた的確なスケジュール管理ができる

  • 調停や訴訟に発展した場合も、スムーズに対応できる

6 遺留分侵害額請求には「期限」があります

この請求には1年という時効があります。

  • 相続が開始したこと、および遺留分を侵害されたことを知った日から「1年以内」
  • または、相続開始から「10年以内」

どちらか早い方が期限となります。

放置してしまうと権利が消滅するため、早めの行動が重要です。

7 私たちの事務所は「相続に強い」法律事務所です

相続は、財産や法律だけでなく、「家族」という繊細な関係が絡む問題です。

私たちの事務所では、これまでに多数の相続トラブルを解決してきた経験と実績があります。

  • 調停や審判に発展する前に話し合いで解決したケース
  • 複雑な財産構成や不動産評価が絡む難解な案件
  • 感情的な対立が深い家族間の調整

こうした状況にも、一つ一つ丁寧に対応してきました。

相続に関するお悩みは、状況によってまったく異なります。

だからこそ、経験と専門知識がある弁護士が、あなただけの最適な解決策を一緒に考えることが大切です。

「こんなこと相談していいのかな…」と思う前に、まずはお気軽にご相談ください。

あなたの“これから”のために、全力でサポートいたします。

【まとめ】

遺言書が見つかった時、そこに不公平さを感じたとしても、法律はあなたの最低限の権利を守ってくれます。

遺留分という制度を利用すれば、法的に正当な主張を行うことが可能です。

早めの相談と冷静な対応が、トラブルを最小限にし、スムーズな解決への第一歩となります。

相続に強い私たちの事務所だからこそ、安心してお任せください。

一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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